押井守「勝つために戦え!」

 

勝つために戦え!〈監督篇〉

勝つために戦え!〈監督篇〉

 

 押井守の「勝つために戦え!〈監督篇〉」

読書感想文:

押井守ってどういう人なんだろう?と思って読み始めた一冊。

アニメ映画監督としての押井守ではなく、映画監督としての押井守(本人談)について知りたい、そんな押井守の哲学を知りたい!という方にオススメ。「へー、こういう価値観で映画を観てるのねー」くらいです(が、いろんな映画監督に対するコメントが読めるのでおもしろい)。プロデューサーと映画監督の違いというか、ハリウッドの予算を使って戦争すらも起こせるのが映画監督だ、という話はむっちゃテンション上がった。「妄想」をかたちにできるわけだよ、映画監督は。単純に考えてそうだよね。一方で、もっとテンション上がったのは、

ケン・ラッセルもジャバ・ザ・ハット化してた。あの人は『ゴシック』作ってからちょっと頭がおかしくなってるじゃん?自分のゴシック願望というか、ゴシック妄想に押しつぶされそうになってたよ。そばに本当にゴシックな姉ちゃんがいるんだもん。ふたりはべらせて朝から飲んでる。

 という押井守の言葉。妄想すごい。

 

まあ、この本は、映画監督として結果を残している人たちについての評価本なので、神々がドンパチ争ってるギリシャ神話と対して変わらないわけですが、押井守がこだわっている「勝利条件」と「快感原則」はすごく好きな言葉でした。「自分にとっての勝利条件とは何か?」「自分にとっての快感原則は何か?」自分の人生はどこで勝つのか?ということを考えないとズルズルと終わりなき闘いだし、自分の快感原則を知らずして勝利条件は見つからないわけで。というか、この「快感原則」という言葉、僕がずっと言いたかった無意識でテンション上がるモノを、上手ーく言語化してくれている気がする。すごくしっくり来るよ、「快感原則」。