グラグラ揺れる

重い映画を期待して「ゆれる」。

リーガル・ハイ!」もそうだけど、裁判モノを観ると被告人(あるいは、関係者)の恥部も何もかも丸裸にされるんだねえ。お金以外でも裁判を起こすときのリスクというか、覚悟として勝つために自分のすべてを曝け出す必要があるのか。そんな感じで、裁判を巡る話の「ゆれる」。「悪人」でもそうだったけど、地方独特の歪んだ感じってなんなんだろうね。僕はずっと都会育ちだから正直わからないけど、やっぱり東京=成功みたいな雰囲気はあるんかな。それが鬱屈して、ああなるわけだね。昔馴染みで、かつ兄と仲よさげな女性を抱いちゃうオダギリジョーにしても、いい男(オダギリジョー)が現れた途端にコロッと態度を変えちゃう尻軽な智恵子にしても、裁判を重ねるうちにどんどん感情をあらわにしてくる香川照之にしても、ガッツリガッツリと人間の嫌なところを出してくれちゃう感じの映画。しかも、その歪みは都会と東京っていうちょっとどうしようもなくデカイ関係性から生まれたもので、智恵子と香川照之に関しては同情もありえて、余計に息苦しい作品。結局、オダギリジョーがこの映画の重苦しさを背負ったカタチになるけど、そこまでの裁判や面会での感情のやりとりは一種の知略戦のような感じもして、思ってたよりも重くはないね。ざっくり言ってしまえば、「悪人」の方が好き。

とりあえず、僕は「兄だけは変わらないと信じていた」と堂々と言える・思える自信はないよ。それは兄弟といえどっていう話でもなくて、人は誰しも時が移ろえば変わるっていう考えから来てるんだけどね。

 

ゆれる [DVD]

ゆれる [DVD]