ひとが造り出した場所の中で、もっとも美しい場所であると確信する

豊島美術館

芸術の底力を感じた。

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http://kstyle.s57.xrea.com/2012/04/2012_4.php)↑豊島美術館

なんていうか、芸術は世界を救うことができるか?みたいな話もあるけど、作品次第では救うことができるんじゃない?と思った。戦争をなくしたり貧困をなくしたり。少なくとも、この豊島美術館に足を運んだ人々は自然の美しさに気付いたと思う。

入り口から美術館内を覗いたとき、「あ、めっちゃ素敵な場所だ」と思った。それは豊島美術館独特の白と曲線でつくられたドームの美しさもあるだけど、その美しく静かなドームの中で、人それぞれが思い思いの方法で作品を鑑賞している姿が見えて、それがほんとうに素敵だと思った。ある人はゆっくりと歩き、ある人はしゃがみ込み、ある人は仰向けに寝そべり、ある人はうつ伏せに寝転がって作品を鑑賞していた。ゆったりと落ちついた、でもどこか楽しげな雰囲気が感じられてとても嬉しかった。そんな中でも、そこにいる”人”で一番感動したのは、ドーム内に迷い込んだ虫を外に逃していたスタッフの挙動一つ一つ。ゆっくりと小さな生き物を労るように丁寧な仕草で、とてもそれは美しくこの空間に浸った者ならだれもがあのような慈しみにあふれた心境になると思う。

この豊島美術館にあるたったひとつだけの作品は、自然において同じ風景が2度と現れないようにあふれ出る水はいくら見ても飽きず、そして角度を変えるごとに光を反射して様々な表情を見せてくれた。天井から差し込む陽の光や木々の音に耳を澄ませながら、水の美しさを感じることのできる場所です。外国人の方々も何人も足を運んでいたけれど、自然は支配するもの!と、その宗教観によって生まれた時からそういった意識が根付いている人々にとって、この美術館はどう思ったのかすごく知りたい。僕はこの世界でもっとも美しい場所のひとつであると感じたし、それが日本にあるということ、日本人がつくったということを誇りに思う。

芸術家は今世紀までずっと自然の美しさを描き続けてきた。それは人々が自然の美しさを忘れている現代において大事なこと。社会に対してひとつの気付きを与えることが芸術のひとつの存在理由なのだとしたら、自然の美しさをこれほどに上手く表現した作品は他にないと思う。芸術ってやっぱりすごいなーと強く実感した。