頑固者がむかつく

 うん。おもしろい。

ミッドナイト・イン・パリ [DVD]

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憧れの街・パリにやってきた小説家志望の男が、1920年代の芸術黄金期に夜な夜なタイムスリップしちゃうって話。黄金世代のピカソやヘミングウェイ、ダリらとワイワイと楽しみつつ、恋をして、夢に向かって一歩を踏み出すということなんだけど、ちょうど『新しい主人公の作り方』という物語論の本を読んでいることもあり、主人公が飛び出すべき世界(婚約者)との関係性がわかりやすくて、「ああ…この女性はストーリーを進行させるためだけに台詞があるんだなあ」と身も蓋もないことを思いつつ。

まあ、とりあえず。まず主人公は「1920年代のパリ」が大好きで、一緒に旅行している婚約者がいるにも関わらず、その自分の趣味を憧れの土地で堪能するために空気を読まずに行動しちゃうような性格ってこと。つまり、これって僕のことです。例えば、旅行に行くとしたらどうしても行きたい場所・やりたいことがあると思うんだけど、それがすごく個人的な体験だった場合、僕はそこで別行動を提案したい。それが「好き」ということであると思っている。「好き」の鏡である。で、主人公がその「好き」を空気を読まずに実行する様子を、この映画を通して僕は見せつけられることになったわけで。本音を言ってしまえば、この主人公の空気の読めなさに「おいおい、お前…」と引いていた自分がいた。あるいは、ベル・エポックに憧れるアドリアナがその時代に残ろうとする様子を観て、「好き(あるいは過去?)」に囚われている感じがして、すごく嫌だった。本来であれば、僕は「好き」を貫く彼女を尊敬するべきであるし、褒め称えるべきなんだ。けど、それが出来なくて、それがおもしろかった。

他にも何か言いたいことがあったように思うんだけど、覚えてない。映画を観ても、そのときの感情を覚えていられないのは問題だなあ…まあ、いいや。