はさみの手と黒い雨

意外と初めましてなティム・バートン監督でした「シザー・ハンズ」。

と、

こちらも演技をちゃんと観るのは初めましてな高倉健松田優作の「ブラック・レイン」。

シザーハンズ〈特別編〉 [DVD]

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ブラック・レイン デジタル・リマスター版 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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さて、前回・前々回あたりのblogで、映画の「問い」を云々と語っていたわけですが、この2つの映画はその「問い」がまったくわかりませんでした(笑)当然ですが、「問い」が見えないのはわたくしの努力不足ではございます。あと、この2つの映画で共通しているのは、鑑賞後の「やっぱり映画っておもしろい!もっと多くの作品が観たい!」という感想でした。シザー・ハンズで言えば、最初は好奇の視線でチヤホヤしていたのに、ある日突然手のひら返しに態度を変えることに対して「どう思う?」という問いがあったり、ずば抜けた才能って他人を傷つけたり、理解されないもんなんじゃないか?という問いだったりと、あるにはあると思うけど、そういう「問い」以上に(おい)「シザー・ハンズ」の持っている奇妙さが僕は好きでした。ジョニー・デップの濃いキャラクター勝ちな気もするけど、それでもジョニー・デップ演じるエドワードの歩き方や表情は癒やされる…(笑)最初は受け入れられて最後は突き放されるという予定調和感が安心感をも与えてくれます。

ブラック・レイン」も同様で、高倉健演じるマサと、マイケル・ダグラス演じるニックの友情秘話が(そして、チャーリーはイケメンすぎるがゆえに淘汰された)、めちゃくちゃストレートな王道で、めちゃくちゃ熱くて暴力的で、めちゃくちゃかっこいい。マイケル・ダグラスは正直、おまけで(笑)、高倉健の不器用さ加減な演技が好きだ。大好評な松田優作の気狂いヒールな演技もいいけど、菅井さんのドスが効いた感じの方が僕は好きでした。マイケル・ダグラスが日本で仲良くなる女性(一応、ヒロインかな)が、アメリカ人女性だったのはちょっと残念。英語のくだりとか、当時のアメリカ人が日本人にどういう印象を持っているか、よくわかる映画でもあります。日本人の流儀だったり箸の持ち方だったり、あるいは映画のなかでアメリカによる原爆投下のことや、創造的な人材を封じ込める教育制度を日本が採用していること、など日本に対する色々なモノが見え隠れしてます。マフィアと警察(ブラック・レインはヤクザと警察だけど)というガン・アクションが大好きな僕としては(最初、アメリカ警察コンビが銃を没収されたときはショックだった)渋い男映画の「ヒート」に匹敵する映画でもあると位置づけたい。

「問い」に関しては、色々と掘り出せば「こうじゃないか」とか「ああじゃないか」とか言えるんですけど、どうにも浅くて、ジョニー・デップのエドワードや高倉健のマサとかのまえでは霞んでしまうので、今回はこんな感じで。精進します。

そういえば、観たい観たいと思っていた「シザー・ハンズ」ですが、実は前々から観たいと思っていたのは「スウィーニー・トッ ド/フリート街の悪魔の理髪師」の方でした。けど、今調べたら「スウィーニーは首をカミソリでかき切って殺人を犯すため、大量の血も視界に入ってしまう。いくらジョニー・デップ好きでも血が嫌いな人にはとても観るに堪え難い作品だ。」とのことなので、観るのはやめよう。血ってだめなんですわ。現実の世界で万が一のときが来るかもしれんから、慣れといた方がいいとは思いつつ…