パトレイバー!

 

EMOTION the Best 機動警察パトレイバー 劇場版 [DVD]

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機動警察パトレイバー2 the Movie [DVD]

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アニメっていいなーと再確認。

パトレイバーシリーズ」はTVアニメとして数話だけだけど観たことがあったので、そのキャラクターたちを把握できてたのはよかったな。近未来の警察モノっていうと、「攻殻機動隊」を思い出すけど(あれも押井守監督ですが)、攻殻の素子やバトーさんたちは感情の起伏が少ない、冷徹なプロフェッショナルというイメージで、切れ者集団という感じ。一方、篠原や後藤を始めとした「パトレイバー」の面々は、「おふざけ」という言葉が最初に思い浮かんだほど騒々しいメンバーで、人間味のある集団です。しかし、任務中・作戦中での軽いノリの中にも“切れ者”感はにじみ出て、なんというか「仕事をしてる」という感じが伝わってくる。攻殻機動隊が非日常の物語だったのに対して、パトレイバーは日常における仕事の物語という印象。そのどちらもそれぞれで好きだけど。

「1」は「機体が優秀でもOSがイカれたらオシマイ」という言葉が、その物語のテーマのような気がする。僕が身体論に興味があるからそう感じただけかもしれないけど。機体=身体で、OS=脳・意識。いわゆる科学技術批判(道具は使い手次第というアレ)というメッセージも考えられるけど、押井守監督のテーマはそっちじゃないと思う。レイバー(=身体)に人(=脳あるいはOS)が乗り込むという構図だから、どうしてもそう思ってしまう。乗っているレイバーが暴走するって、身体と脳の関係で考えると、何かの隠喩な気がするし。あと、OPが神。今まで観たOPの中で1番かっこいいかも。

「2」は「2本のビデオが2つとも虚構だったとして、吹っ飛んだベイブリッジだけは現実だ」という台詞がすごく好きだし、この映画のテーマかも。あるいは、平和という日常であり、幻想の世界でもある日常を生きている東京に、陸上自衛隊が配備されるシーンはこの映画そのもの。そのシーンはものすごく非日常でリアリティがあって、僕が知っている日常との対比がすごく好きだった。それでも戦争は他人事であるかのような表情をしている一般人の描写がまたいいね。虚構であるワイバーンとの空戦のシーンは、攻殻機動隊の電脳をハックして擬似現実を見せるトリックと似てる。問いはひとつで、「今見ている現実は、ほんとうに本物か?」。人々が死傷する戦争は、一般的な意味でも身体性という意味でも現実なのに、テレビなどのメディアを通すことでそれは現実感を失って、まるでエンターテイメントのように虚構となる。戦争映画もニュースでの戦争映像も同じ。そんな虚構で塗り固められた人々に対して「そんなの全然リアルじゃないよ!これが本物の現実(戦争)だよ!」と見せようとしたのが、柘植行人であり、監督・押井守押井守監督が数々の作品で伝えようとしていることがめちゃくちゃ詰め込んである作品。不安感を煽るようなBGMがとてもよく、あっという間の2時間。最高ですな。