イノセンス-人形から見る身体性-
自分史上最高のインターネットサービス「ドリパス」を利用して、押井守監督の映画「イノセンス」を映画館で鑑賞してきた。深夜放送の「イノセンス」を眠気と闘いながら観た記憶しかなくて、ちゃんと腰をすえて観るのは初めて。てか、それも映画館で観れるとはなんて幸運なんでしょうか。
「イノセンス」は最高だね。私的映画ランキングではSクラス。混沌とした中華のアンダーグラウンドな街感から始まり、ヤクザとの銃撃戦&蟹野郎とのバトル、近未来的な小道具のビジュアル、最後の舞台(ロシア?北欧?)のスチームパンクのようでいて和風な人形や山車が踊り狂う映像美は最高にワクワクした。「イノセンス」のテーマでもある「身体性や意識・無意識」にも興味を持って自分で本を読むなどしていたから、話としてはけっこう理解できるようになってた。
おもしろいのは、「身体性や意識・無意識」には関心を持っていなかったときから、イノセンスは大好きだったこと。結局、「身体性や意識・無意識」に関しては、それこそ潜在的な部分で好きだったのかなーとか思ってる。だとすると、人間の趣味・趣向とはおもしろいものである。人間がカテゴライズしている枠組みでは捉えきれない「モノ」があって、それが人間の興味に結びついているのではないか。その「モノ」はその個人の個人的な歴史や価値観によって形成されている?
個々で関心を持っていたフランシス・ベーコンとイノセンスの身体性が繋がってくることが、どうしても偶然には思えなくて。人間というものは何か心の深いところで共通の関心事があり、その関心事に応じて好きなモノのレイヤーが変わってくるのかも。アニメ好き!アート好き!とか言うても、実は「身体性」が好きだった、みたいな。そこを理解することは大切かもしれない。
ちなみに超弩級のオタク映画「イノセンス」を、リア充空間「お台場メディアージュ」で上映するのは、大いなる間違いであったことをここに記したい。「イノセンス」を観るためにいったい何人のオタクたちがお台場で命を落としたことだろうか…
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