反戦アニメ映画

戦場でワルツを 完全版 [DVD]

戦場でワルツを 完全版 [DVD]

イスラエルのアニメーション映画。

へー、イスラエル。いちどは行ってみたい国ベスト3にランクインしてる国。

それはともかく「戦場でワルツを」である。出だしの犬っころが飛び出してくるシーンを観て「お!期待できそう!」と思った。ジャパニーズアニメーションとは違った絵の動かし方と、疾走感のある音楽と。たぶんそんなところに「お!」と思った。「どんな映画かなー?」と観ていると、イスラエルによるレバノン侵攻と大虐殺の映画であるらしい。

戦場でワルツを」の監督アリ・フォルマンはイスラエル人。映画の中で、イスラエル人側の虐殺行為を非正当化しているような気がして、「映画というていをなした断罪系の物語か?」とか思ったけど、監督もイスラエル人ですやん。どういう意図があってこれを作ったのか気になる。最後に流れる実写の映像(斬新!)から考えると、イスラエル人によってもたらされた虐殺の悲惨さを訴えているようにも。その結果。ただただ「戦争って嫌だな」とか「人間ってここまで残酷になれるんだ…」って思える映画。

基本的なスペックとして僕は戦争映画あるいは銃撃戦大好き!(「フルメタルジャケット」「ブラックホークダウン」などなど)なんだけど、この映画は不快感が大きかった(のが、個人的にツボ)。「なんでだー?」と考えてみたんだけど、たぶん「戦争を淡々と描いているから」だと思った。たとえば、みんなで歌いながら戦車に乗っていたら、隣の仲間が銃で撃たれて死んじゃうシーンがあったけど、実写の戦争映画(あるいは、「戦場でワルツを」以外の映画)であれば、「おまえ大丈夫か!」みたいな感情表現が現れる。「ブラックホークダウン」とかその典型で、撃たれた仲間を救うために他の仲間も撃たれるみたいな、ある意味で「仲間のため」っていう理解できる感情があった。けど、「戦場でワルツを」は、そういった「お前大丈夫か!」みたいな”心配”という感情が見えなくて、不気味だった。ある意味で、アニメーションの良さかもしれない。アニメーションであれば、無表情・無感情が表現できる。こういった無感情な描写が主人公を中心にずっと続いて、感情移入させないくせに戦争は悲惨で、もう不気味な場面が広がるのみで。

そういう気持ち悪くて「映画であれば、戦争もいいよね。エポケーだよ(`・ω・´)キリッ」とか言ってる戦争映画好きにも「あ…ぁ…やっぱ戦争だめだよ…」って思わせる映画でした。